ディレクターコメント

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故は、福島に大きな爪痕を残した。
放射能の影響は、県土の約7割を占める広大な森にも及び、震災から月日がたとうとも、未だ復興への道のりは遠い。

福島にとって森は宝である。
人々は古来から、森と共に生き、森から多くを学び、豊かな文化を築きあげてきた。
私たちはこの文化を、これからも守り育てなくてはならない。そして、この受け継がれて来た文化でしか成し得ない復興がある。
今の福島に必要なことは、見慣れた山、見慣れた川、見慣れた空の風景を、もう一度自分以外の誰かと、眼差しを共有し、見つめ直すことでは無いだろうか。

森の文化は、人々を包摂する力をもっている。
先人から受け継がれて来た知恵や技や物語を、多くの人々と共有することで、異なった幾つもの価値観が交わり、またそこから新しい価値が生み出されてゆく。
それこそが、人々の生命力へとつながる森の文化である。

森のはこ舟アートプロジェクトは、アーティストと共に、森を見つめる時間と場所を創造する。
福島の未来は、人々が森を見つめる眼差しの先にあると感じている。

森のはこ舟アートプロジェクト ディレクター

伊藤 達矢

1975年生まれ。2006年 東京藝術大学大学院芸術学美術教育専攻 修了(博士号取得)。現在、東京藝術大学美術学部 特任准教授。
東京都美術館と東京藝術大学の連携によるアートコミュニティー形成事業「とびらプロジェクト」および、上野公園内に集積する9つの文化施設を連携させたラーニングデザインプロジェクト「Museum Start あいうえの」では、プロジェクト・マネージャを勤め、社会とアートを結びつける活動に従事する。

ページTOPへ