委員長メッセージ

一年のうち何度か会津盆地はすっぽりと霧に包まれる。
盆地に被せた大きな蓋のような霧を抜け、
盆地を取り巻く山の中腹に出る。
そこでは天空の視界を得て霧の蓋は雲海となる。
海原にはいくつもの山の頂、尾根が浮かんでいる。
漕ぎ出す舟のように。
独りでありながら結ばれているように。
その一つ一つに古代からの記憶を刻んだ生き物、草木、暮らし、祈りがある。
白く輝く会津の海に浮かぶ方舟の船団。
これは幻ではない。
この地を、この地に住まう人々を未来へ誘う方舟。
私たちは小さな浮標(ブイ)となろう。
舟を導くために。

森のはこ舟アートプロジェクト実行委員会委員長

赤坂 憲雄

1953年生まれ。民俗学者、学習院大学教授、福島県立博物館長。
東北学を提唱し、1999年に『東北学』を創刊。2007年発行の『岡本太郎の見た日本』でドゥマゴ文学賞受賞、2008年同書で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2011年以降は、東北でのフィールドワークに基づき、東日本大震災、原子力発電所事故により東北が直面にしている問題について講演や著作活動も行っている。著作に『ゴジラとナウシカ―海のかなたより訪れしものたち』(イースト・プレス2014年)など多数。

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